Sketchpad: A Man-Machine Graphical Communication System
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Photo CC:Scanned by Kerry Rodden from original photograph by Ivan Sutherland - Electronic edition of Sutherland's Sketchpad dissertation, edited by Blackwell & Rodden
「Sketchpad: 人と機械をつなげるグラフィカル・コミュニケーション・システム」
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書誌情報
The New Media Reader
Ivan Edward Sutherland, Sketchpad: A man-machine graphical communication system, The New Media Reader, The MIT Press, 2003, pp.109–126.
綺麗にされ、出版されたもの(2003)
Ivan Edward Sutherland, Sketchpad: A man-machine graphical communication system, Technical Report, UIVERSITY OF CAMBRIDGE Computer Laboratory, 2003
原典(1963)
Ivan Edward Sutherland, Sketchpad: A man-machine graphical communication system, Massachusetts Institute of Technology, 1963
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Futher Reading
Baecker Ronald M., Jonathan Grudiin, William A. S. Buxton, and Saul Greenberg. "A Historical and Intellectual Perspective." Readings in Human-computer Interaction. Toward the Year 2000. 2d ed. San Mateo, Calif.: Morgan Kaufman, 1995.
Brennan, Susan E. "Conversation as Direct Manipulation: An Iconoclastic View." The Art of Human-Computer Interdace Design 393-404, edited by Brenda Laurel. Reading, Mass.: Addison Wesley, 1990.
Nelson, Theodor H. "Sutherland's Sketchpad." Computer Lib/Dream Machines, page DM23. Self-published, 1974.
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Introduction(pp.109-110)
特に、Ruber-band linesと呼ばれる、2点を結ぶ線を描くものや完璧な円を描くためのメソッドなどである。これらの特徴はただ綺麗に描けるだけでなく、条件の指定によって違う形を再現することや、一つのポイント(点)を変化させるだけで他との「つながり」を変化させることができることである。コピー、回転、拡大、縮小ができる。
Sutherlandは、この「オブジェクト」による制限をもったインターフェースによって、橋の建築における計算や、電気回路の設計などにも使用できると考えていた。
しかし、New Mediaにおいて、この考えがきちんと理解されているとは言えない。
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1.導入(pp.111-113)
Sutherlandの目的は、人とコンピュータの「対話」、つまり操作を容易にすること。特に、形を説明する際にはテキストベースの操作や対話は面倒であったので、これを直感的にする。
このシステムが持つ機能は以下の3つが挙げられる
(1)サブピクチャ(Subpicture)
元々の形状(今回は正六角形)はどんな形でも良い。
(2)制約(Constraint)
基本的な制約(垂直、水平、並行など)の関係を指定できることにより、描画されたオブジェクトの位置関係や大きさなどの特性を制御可能。
(3)定義のコピー(Definition Copying)
「並行」「等しい長さ」などの制約をオブジェクトに対して、当てはめることができる。これによって、制約からより容易に形を生成できる。
これらは、紙に描画するのとは全く違った方法である。
制約を課すことによってできる形態は、デザイナーがさまざまな要件をもとにものを生み出すことに似ているという。この性質ゆえに、良い「形態」を作るだけでなくサウンドデザインにも応用できる。つまり、要件さえ定義できればなんでも完璧なものをデザインできてしまう。
活用可能性については、4つの分野を挙げる。
(1)記録と描写のアップデート
Subpictureを記録することで、再度書く手間が省けて効率的
(2)グラフィカルに工学の分野を理解する
工学的な分野において、機械のつながりなどを理解するのに役立つ。
(3)回路シミュレーターなどのトポロジカル入力デバイス
回路シミュレーションする上で、それぞれの要素を記録できるため、何度も同じ作業を行う必要がない。
(4)莫大な量の繰り返し
2.構造について(pp.114)
Ring Structureと呼ばれる、データ構造を使用。要素間の相互参照がリング上になっていることが由来。これによって要素を挿入、削除、移動する際に、要素間の参照を更新する必要がなくなる。
Generic Structureと呼ばれるものも紹介している。
これはSketchpadのデータストレージ構造の一部であり、同じ種類の要素を一つのリングにまとめ、それらをジェネリックなブロックの下に集約することで、一般的な情報と特定の情報を分離する構造。
基本的な操作は以下のようになっている
(1)Inserting
リング内の指定された位置に新しい要素を挿入する。
(2)Removing
リングから指定された要素を削除する。
(3)Moving
リング内の要素を指定された位置に移動させる。
(4)Performing some auxiliary operation
リング内の各要素に対して、座標を変更する
階層構造を利用することでデータの整理を容易にした。また、一つを変えても他に影響がないため、プログラムの拡張も容易になる。
3.Light Penについて(pp.115-116)
Light Penは座標入力デバイスとして、また、デモンストレーション入力として既存の要素(画像)を変更するために利用される。 「inking-up」で既存の線や点に触れることで、トラッキングクロスが作成される。Light Penの追跡が失われると、ユーザーは描画を停止する「終了信号」としてペンを素早くフリックする。
ペンがトラッキングに使用されていない時は、スポットが表示される。これは、円と線のみである。トラッキングには適しているが、ポインティングには比較的大きい。
4.Display Generation(p.116-117)
TX-2のディスプレイシステムまたは「スコープ」は、約100,000回/秒でスポット表示できる。 それぞれの描画は以下のように行われる。
移動
描画の一部が移動される場合、計算され、連続した位置で表示される。(動いていることがわかる)
画像の拡大
2000倍の倍率での拡大が可能。これは7インチ四方の正方形が1/4マイル四方の正方形になるようなもの。
直線と円
差分方程式を利用。
テキストと数字
テキストは最大36文字までの単一行として表示され、数字は最大5桁まで可能。
5.Recursive Functions(pp.117-191)
依存関係にある何かが削除されると、それに依存するものも削除される。例えば、点を削除すると、その点に終端する線も削除される。
また、同じ種類の2つのものが統合されると、それに依存する他のものも統合される。これにより、複雑な定義をオブジェクト図に適用できる。
インスタンスの内部構造は固定されているが、コピーの内部構造は可変になっている。再起的な表示はインスタンスのコピーを作成することで、一定の内部構造と柔軟な内部構造の間の変動範囲を持ち合わせている。 Attacherとは、図面内でシンボルやオブジェクト同士を繋げるためのポイントのこと。例えば、回路のシンボルを配線するときや、幾何学的なパターンを作るとき、または部品をリンクさせるメカニズムを組み立てる時に、Attacherが使われる。
Instanceは、特定のオブジェクトやシンボルのコピーで、それを図面に配置するときに利用する。これは、同じ構造を持った部品を簡単に追加したり、変更するのに役立つ。
6.Building a Drawing, the Copy Function(pp.119-121)
アトミック操作(不可分操作)が採用された。これらの操作は、「描く」「コピー」などがあり、これらはリング構造に新しい描画部品を生成する。コピー機能を実装することであらかじめ定義された画像部品と制約の組み合わせボタンを押すだけで生成でき、再起的なマージング機能により、これらを既存の部品と関連付けることができるようになる。
7.Constraint Satisfaction(pp.121-122)
Sketchpadの最大の特徴は、ユーザーが描画された部分に数学的条件を指定し、コンピュータがそれを自動的に満たす能力である。これにより、新しい条件に合わせて描画を調整することが可能で、これはデザイナーが設計を完成させる能力に似ている。この機能は、設計者が過度な数学的詳細の考慮から解放されることを目指している。
8.Conclusion(pp.122-125)
Sketchpadの制約システムを使用すると、ユーザーは描画に数学的条件を適用でき、デザインおよび描画の調整に強力なツールとなる。